2011年から一部区間の不通が続いているJR東日本の只見線は、「上下分離方式」により2022年中に運転が再開されます。
2011年7月に「新潟・福島豪雨」が発生し、只見線は多くの橋梁の流出、土砂崩れによる線路の崩壊などの甚大な被害を受けました。JR東日本の復旧作業により大部分での運転が再開されましたが、特に被害が大きい会津川口駅〜只見駅間は、被災から10年が経過しようとしている現在も不通になっており、バスによる代行輸送が行われています。現在、2022年中の全線運転再開を目指して鉄道施設等の復旧工事が進められています(路線図は下図を参照)。
会津川口駅〜只見駅間の今後のあり方については、JR東日本と福島県、地元自治体との間で検討会が設けられ、鉄道の廃止やバス転換の選択肢も含めて話し合いを続けてきました。最終的に、JR東日本と県が事業主体となる上下分離方式により鉄道として復旧すること、運営費について県と沿線市町が一定の割合で負担することなどで合意に至りました。
2017年6月にはJR東日本と県の間で基本合意書が結ばれ、県が第三種鉄道事業者として鉄道施設と土地を保有し、JR東日本が第二種鉄道事業者として運行を担うことが明記されています。JR東日本は復旧工事の完了後、鉄道施設等を県に無償譲渡し、以後の維持管理は県が実施します。
2021年6月30日(水)付で国土交通大臣に対し、JR東日本は会津川口駅〜只見駅間の第一種鉄道事業廃止の届け出と、第二種鉄道事業許可の申請を行いました。県も同日、同区間の第三種鉄道事業許可の申請を行いました。これは鉄道事業法に基づく手続きで、許可されると今後の事業の枠組みが確定し、只見線は全線運転再開に向けて大きく動き出すことになります。